こんにちは、coto*です。
今日は、「小さな設計事務所で働くこと」について、じっくり考えてみたいと思います。
建築の仕事に携わりたい、と夢見る人にとって、どんな職場で経験を積むかはとても大きなテーマ。
大手の設計事務所、ゼネコン設計部、組織設計事務所……選択肢はいろいろあります。
そのなかでも、「小さな設計事務所」というフィールドには、特有の魅力とリアルがあります。
今回は、そんな「小さな設計事務所」で働くことのメリットとデメリットを、私自身の体験も交えながらお伝えします。
Contents
1.まず、「小さな設計事務所」とは?
ここでいう「小さな設計事務所」とは、スタッフが1〜10人程度で、トップの建築家の名前を冠したようなオフィスのこと。
一つひとつのプロジェクトを丁寧に手がける、そんな設計スタイルが多い印象です。
住宅を主に設計しているところもあれば、店舗や小規模施設を中心とした事務所もあります。
「建築家の思想に直接ふれることができる場所」と言ってもよいかもしれません。
2.メリット①:設計の全工程に関われる
小さな事務所では、初期のプレゼンから基本設計、実施設計、現場監理まで、一人のスタッフがすべての工程を担当することもあります。
これは、若いうちから“建築をつくるプロセス全体”に関わるチャンス。
大きな組織では、図面の一部だけを何年も担当する、ということも珍しくありませんが、小さな事務所では違います。
プレゼン資料をつくる日もあれば、現場で職人や施工会社の方と話す日もあり、確認申請を出しに行く日もある。
その分、ひとつの建築を「自分の手で」形にしているという実感が得やすく、独立も可能です。
3.メリット②:師弟関係のような距離感で学べる
トップ(ボス)との距離が近いのも、小規模事務所の特徴。
いわば「建築家のすぐそばで、じかに学べる」場所です。
建築雑誌で見ていたあの人が、あの建築のメイン設計者が目の前でスケッチを描いている。
それをトレースしながら、なぜこう描くのか、どう考えているのかを日々観察できる。
機会や学びの量は多く、吸収スピードも自然と上がります。
4.メリット③:裁量が大きく、成長が早い
事務所の人数が少ないということは、裏を返せば「一人あたりの役割が大きい」ということ。
ときには、社会人1年目でクライアントとの打ち合わせに同席することも。
最初はとんでもなく戸惑いますが、だんだんと慣れてくると、大体の仕事の流れを理解することができ、「建築の現場って、こうなってるんだ」と腑に落ちることも増えてきます。
設計だけでなく、行政とのやり取りや、コスト調整、時には模型/CG制作や写真撮影の立ち合いまで。
広く深く関われるぶん、自分の得意や好きが見えてきやすいのも特徴です。
では、デメリットは?
もちろん、すべてがバラ色ではありません。
「小さな設計事務所だからこその課題」も、現実として存在します。
5.デメリット①:業務量が多く、時間管理が難しい
一人に任される範囲が広いということは、それだけタスク量も多くなります。
納期前には終電・徹夜が当たり前という事務所も、まだまだ少なくありません。
「気合い」と「責任感」で乗り切る…という雰囲気が残っている事務所もあるため、
気合いと責任感ではやっていけないという方なら、就職前に、OB・OGやSNSで情報収集をすることが大切です。
6.デメリット②:給与・待遇面が整っていない場合も
最近ではあまり聞かなくなったと思いますが、
小さな事務所では、給与水準や福利厚生が整っていないことも多々あります。
社会保険に未加入、残業代なし、ボーナス制度なし…という事務所も。
だからこそ、「自分が何を優先したいか」をよく見極めることが重要です。
・早くスキルをつけたい
・好きな建築家のもとで学びたい
・待遇も大事にしたい
すべてを100%叶えるのは難しいけれど、自分にとって“譲れないこと”は明確にしておくと、後悔しづらくなります。
7.デメリット③:社内にロールモデルが少ない
少人数の事務所では、「憧れの先輩像」がつかみにくいこともあります。
「◯年後の自分の姿が想像できない」という不安を抱える人もいるかもしれません。
そんなときは、外部の建築仲間とのつながりや、業界イベント、インスタ・ポートフォリオサイトなどで「外の世界」と接点をもつことが助けになります。
私も友人や知り合いの設計事務所所員らとの若手交流会を企画し、定期的に仕事や将来の夢の話をする機会をつくっています。
8.最後に:働く場所を選ぶときに大切にしてほしいこと
どんな場所で働くにしても、「この経験が、いずれ自分の糧になるかもしれない」と思えることが、続ける力になるんだと思います。
小さな設計事務所は、たしかに大変なことも多いけれど、濃密な時間を過ごせる場所でもあります。
そしてその経験は、のちに独立する時や、他の環境に移ったときに、かけがえのない強みになるはずだと私はそう信じています。
「成長したい」「建築を深く学びたい」という気持ちを持っているなら、一度は小さな設計事務所の扉を叩いてみるのもおすすめです。
私の勤めている事務所でも現在新しい、学生アルバイトさんを募集しています。
SNSや会社のHPで募集はしていませんが、
どこからか、この記事を読んでくれた学生さんから連絡が来る日を待っているかもしてません ◡̎
最後まで読んでくださって、ありがとうございます。
この記事が、どこかで迷っている誰かの背中を、少しだけ押せたなら嬉しいです。
また、事務所での日々の気づきも少しずつ書いていけたらと思っていますので、他の記事もよろしくお願いします⑅◡̈*
coto*でした。