建築事務所で働きはじめて、気づけば3年目。
図面の意味が少しずつ分かるようになってきて、プレゼン資料を任されたり、施主との打ち合わせに同席したり、行政協議へ行く機会も増えてきました。
でもその一方で、私にはまだ「建築士の資格」がありません。
まわりが資格取得に向けて動き出し、取得者も誕生する中、「このままでいいのかな?」と不安になることもあります。
焦る気持ちもあるけれど、私は今、自分なりに“立ち止まらない”方法を選んでいます。
今回は、資格をまだ持っていない建築実務者として3年間働いてきた私が、リアルに感じたことを5つにまとめてみました。
Contents
資格がなくても「任せてもらえる仕事」は増えていく
最初の1年は、デザイン資料の作成やCG制作が中心でした。
でも2年目を過ぎると、修正図面の作成や施主の前でプレゼンをしたり、役所へ協議に行ったりと、思っていた以上に「責任のある仕事」が任されるようになりました。
もちろん、法的にはできない業務もあります。
設計者として押印する、などの“最終責任”を伴う業務は、資格を持っている代表が対応しています。
でもそれ以外の部分では、「設計の一員」として十分に力を試せる環境があ流と感じています。
むしろ小さな設計事務所であるからこそ、現場に出て覚えること、クライアントとの距離感など、“設計のリアル”に早く触れられた気がします。だからこそ、新人の頃は仕事に慣れることと、できる仕事を増やすことに注力できれば良いと感じています。
資格の有無より「設計力」が問われる場面がある
実際のプレゼンテーションや、設計の打ち合わせでは、資格を持っているかどうかよりも「その提案に説得力があるかどうか」が重視されることが多いです。
もちろん、資格を持っていれば名刺交換した際に、資格保持者ということが相手に伝わるので、それだけで説得力があるように感じるでしょう。でも、会議を重ね、
図面の精度、空間の魅力、法規の理解──
「この案、面白いね」と言ってもらえる瞬間は、資格ではなく“設計の力”で勝負していると実感します。
建築士であることは信頼の証ですが、建築士になってからも「設計力が問われ続ける」ことに変わりはありません。
だから今、私は自分にこう言い聞かせています。
“資格を取る前に、設計者としての力を育てておく”ことが、きっとあとで自分を助けてくれるはずだと。
それでも「資格がない不安」は常につきまとう
ただ、やっぱり不安になる瞬間はあります。
同期が受験勉強を始めていたり、他事務所の友人が資格を取得した話を聞くと、自分だけ取り残されているような気はしてきます…。
「このままずっと無資格のままだったらどうしよう」
「来年には実務経験3年…設計者としての勉強のためにもそろそろ勉強を開始しても良い頃ではないか」
そんなモヤモヤを抱えたまま働くのは、正直つらいです。
でも最近は、その焦りを否定せずに、「今は、今の自分にできることをやろう」と気持ちを切り替えるようにしています。
今だからこそできる「実務の中での学び」を大切にしたい
資格の勉強にフルコミットしているわけではない今だからこそ、現場で得られることをできるだけ吸収しようと思うようになりました。
例えば、
なぜこの寸法なのかを現場で聞いてみる
上司の設計意図を図面から読み取る
施主の反応や声からニーズを知る
こうしたことも、立派な“建築の学び”です。
むしろ、資格取得後の「設計者としての実践」に生きてくるはずだと思っています。
勉強は、焦って始めるより「腹を決めたとき」でいいと思えた
建築士の資格勉強に、焦って手をつけて、挫折して、自己嫌悪に陥る…というのは避けたいなと思いました。
それよりも、「今なら本気で向き合える」と自分が思えるタイミングで動くほうが、きっと合格にも近づける。
だから今は、設計の実務を通して「経験から学ぶこと」と、資格への意識を日常的に持ち続けることを大切にしています。
そのうち自然と、「今年、挑戦しよう」という気持ちになれるはず。
おわりに|焦ってもいい。歩みを止めなければ
建築士の資格を取るタイミングは、人それぞれだと思います。
早く取る人もいれば、じっくり準備する人もいる。
どちらが正しいということはなくて、大事なのは建築を続けたいという気持ちを持ち続けることかなと私はそう思っています。
私もまだまだ未熟だけど、「この仕事を続けていきたい」と思っているからこそ、焦りながらでも前に進みたいと思っています。
この記事が、同じような気持ちを抱えている誰かの、ちょっとした励ましになればうれしいです。
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